観光列車「ろくもん」のナイトクルーズ
ほら貝、信州牛と地ビール、「日本三大車窓」トワイライト・ビューがたのしめる特別編成
風格ある駅舎を出て右に向かい、ホームの先にある踏切を渡る。警報機も遮断機もない踏切だが、この先は行き止まりになっていて列車は来ないので安心だ。坂を下りていくと、特急列車も通過する本線が走っている。ここにも踏切があるが、やはり警報機も遮断機もない。これでは危険なので、JRの係員が2人立っていて安全を確認してくれる。さらに先へ行く。街路灯もなく暗いので、アテンダントさんたちが持っている懐中電灯だけが頼りだ。坂を上ったところが姨捨公園で、ここから善光寺平の夜景を眺めた。広々とした盆地を見下ろすと、点在する民家の明かりが星のように輝いていた。
いつまでもとどまっていたかったけれど、列車の出発時間もあるので一斉に駅に戻った。車内では、3種類のカクテルが配られ、発車すると電灯が消された。夜景を見やすいようにとの配慮である。勾配を下って行く列車の窓から、カクテルを呑みながら夜景を眺めるという趣向も楽しいものであった。
列車は、途中の信号場で小休止をし篠ノ井駅に戻った。来る時は上田方面からやってきたのだが、今度は、そのままJR線で長野駅に向かう。宿泊しないで東京に戻るので、長野駅で北陸新幹線に乗り換えた。午後11時には東京駅に到着できるとは便利になったものである。さきほどまで姨捨で夜景を眺めたのは夢であったように思えるほどあっけない列車旅であった。
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